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透析のかゆみ ワンポイントレッスン

第5回 かゆみ治療薬の上手な使い方 解説:吉澤拓先生(あかね会大町土谷クリニック 薬剤部 主任) 吉澤拓先生 透析患者は、合併症対策などのためにさまざまな薬を処方されています。毎日忘れずに薬を服用することに気を遣うだけでなく、薬によっては飲みにくかったり、また、薬を飲み忘れてしまうなど、悩まれている方も多いのではないでしょうか?今回は、透析患者の薬に関する注意点やかゆみ治療薬の上手な使い方について、あかね会大町土谷クリニックの吉澤拓先生にお聞きしました。

透析患者が薬を使用する際に、注意すべき点はどのようなことでしょうか?

まず何よりも病院で処方された用法・用量を必ず守って飲んでいただくことです。ご自身の判断で量や回数を変更すると、思わぬ副作用が現れるなど危険な場合があるため注意が必要です。2つ目に、飲み忘れてしまった時の対処法について確認しておくことです。薬によって対処法が異なりますので、思い出した時点で飲んでも良いのか、1回飛ばして飲むようにするのかなど、事前に聞いておきましょう。
3つ目は、別の病院で薬を処方された場合、必ず主治医や薬剤師などに伝えていただくことです。透析患者では減量する必要のある薬を減量せずにそのまま処方されたり、同じ種類の薬が処方される恐れもあります。それらに気付かず飲んでしまうと過量投与となり副作用が出てしまう恐れがあります。受診の際には是非、お薬手帳などを活用することをお勧めします。

かゆみの治療薬を上手に使うポイントについて教えてください

かゆみの治療薬には、外用薬と内服薬があります()。かゆみの原因は1つではないので処方される薬も患者ごとに異なりますが、基本は保湿剤によるスキンケアを中心に他の薬を組み合わせて行います。

●外用薬のポイント

かゆみ治療に用いる外用薬では、主に皮膚の乾燥を防ぐための保湿剤とかゆみを抑える効果があるステロイド外用薬が使われます。
外用薬は適切な量を適切な方法で塗ることが非常に大切です。外用薬が効かないというケースでは、必要十分量の薬を塗布できていない場合が多いです。病院で指導された量が基本になりますが、目安としては塗った後に肌がしっとりしてテカテカ光る程度、特に保湿剤はティッシュペーパーが貼りつくくらい少し多めに塗るといいでしょう。清潔な手で、手のひら全体でやさしく伸ばしながら、肌のしわに沿って塗るようにします。
また、外用薬は剤形によって使用感が異なります。保湿効果が高いのは軟膏ですが、かためでベトつきもあるので、使いづらい時はクリームやローションに変更してもいいでしょう。背中など塗りづらい部位がある場合は、スプレータイプもお勧めです。継続して塗ることが大切ですから、ご自身の使い心地の良いものを選べるよう医師やスタッフに相談してください。

●内服薬のポイント

かゆみ治療の内服薬には、主に体内でかゆみを引き起こす物質を抑える抗ヒスタミン薬や、中枢神経系に働きかけてかゆみを抑えるカッパ受容体作動薬などがあります。まず、抗ヒスタミン薬ですが、薬の飲み忘れが多い場合は1日1回の薬を選択する方法もあります。また、薬を飲み込みにくい方や水分摂取量が気になる方は水なしで服用できる「口腔内崩壊錠(OD錠)」に変更できる場合があります。ただし、抗ヒスタミン薬は透析患者のかゆみには効果がない場合もありますので、飲んでもかゆみが治まらない場合は主治医・スタッフに相談した方がよいと思います。次に、カッパ受容体作動薬は透析患者のかゆみに効果が認められている薬ですが、効果が現れるのに時間がかかる場合がありますので、効果が現れない場合でも自己判断で中止せず、医師や薬剤師に相談してください。

図:透析患者のかゆみ治療に使われる主な薬

図:透析患者のかゆみ治療に使われる主な薬

透析患者とご家族へのメッセージをお願いします

薬を毎日正しく飲み続けることは大変だと思いますが、医師・薬剤師やスタッフに相談することで解決できる問題がたくさんあります。一人で悩まず、薬に対して感じていることをまずは伝えてみてください。痛みに比べ、かゆみはまだまだ軽視されがちですが、ご自身にとっては深刻な問題です。かゆみが軽減すると、気持ちも明るくなる方が多くいらっしゃいます。ご家族にはその点をご理解いただき、サポートいただきたいと思います。

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