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透析のかゆみ ワンポイントレッスン

第4回 寒い季節を快適に過ごすために 冬のかゆみ対策 解説:高橋直子先生(あかね会大町土谷クリニック 院長) 高橋直子先生 透析患者さんでは、冬になるとひどいかゆみに悩まされる方が少なくありません。今回は冬のかゆみの原因と対策や、医師・看護師にかゆみを伝える際のポイントについて、あかね会大町土谷クリニック院長の高橋直子先生にお聞きしました。

冬にかゆみが強まる原因と、その対策を教えてください

冬にかゆみが強まる一番の原因は、やはり空気の乾燥です。そもそも透析患者さんは乾燥肌の方が非常に多く、空気の乾燥に伴って乾燥肌が悪化し、かゆみが強く現れます。
また、透析患者さんは貧血や体内のホルモンバランスの異常などから、寒さを感じやすい傾向があります。そのため、さまざまな寒さ対策を行うことで、かえって皮膚の乾燥や刺激を引き起こし、かゆみを強めることがあるので注意が必要です。
例えば、入浴時には熱めの湯を好む方が多いですが、熱い湯に長く浸かると皮脂が溶け出し、表皮の水分が蒸発してしまいます。また、毛織物などの衣類や寝具は保温性が高い反面、肌を刺激する場合もあります。エアコンやこたつなど暖房器具の過度な使用も、室内の空気や肌の乾燥を誘引し、かゆみの原因となることがあります。
これらの対策としては、まず保湿をしっかり行い、皮膚のバリア機能を高めることが大切です。バリア機能が改善すると皮膚に対する刺激などの過敏性が低下し、かゆみが起きにくくなります。
また、入浴時はお湯を適温に保つとともに、入浴後に体が冷えないよう浴室や脱衣所の温度・湿度を調整しておくことも大切です。肌に直接触れる下着類は刺激の少ない綿などにし、寝具も顔や首周りなどは綿の布やタオルでカバーするとよいでしょう。暖房は設定温度を低めにし、加湿器の使用や洗濯物を室内に干すなどの工夫で、湿度を保つよう心がけてください。

医師や看護師にかゆみを伝える際のポイントを教えてください

「痛みほど 重視されない このかゆみ」という川柳があるように、透析患者さんにとってかゆみは痛みに比べて言い出しにくい症状とされます。しかし、かゆみは睡眠障害やうつとの関連が報告されており、透析患者さんの心身に重大な影響を及ぼすことがわかっています。かゆみは治療すべき合併症であることを、患者さんもわれわれ医療従事者もしっかり認識する必要があります。
当院では、透析患者さんにかゆみについてお聞きする際、のようなチェックリストを最初に使用します。かゆみを伝える際の参考になると思いますが、とはいえあまり難しく考えず、まずは「かゆい」と伝えることが大切です。かゆみの存在を訴えていただければ、後は医師や看護師の方から「いつ、どこが、どんなふうにかゆいのか」などを具体的にお聞きします。
また、かゆみ対策を行っていく際にも、保湿剤の塗り心地が悪かったり、処方された薬の効果が感じられない場合などには、医師や看護師に相談していただきたいと思います。

図:かゆみのチェックリスト

図:かゆみのチェックリスト

透析のかゆみ対策を行っていく上で大切なことは何でしょうか?

透析のかゆみの原因は1つではありません。多くの場合、複数の原因が重なっており、いろいろな治療を試していく必要があります。まずはかゆみを伝え、すぐに改善しなくてもあきらめず、根気よく対策を続けていただきたいと思います。
実は、私が透析のかゆみ治療に取り組んだきっかけは、2009年に院内でアンケート調査を行った結果、8割の患者さんにかゆみがあると明らかになったことでした。考えていた以上に多くの方がかゆみに悩んでいることを知り、かゆみ治療の重要性を実感したのです。
近年は、透析技術の改良が進んでいるほか、中枢性のかゆみに作用する新しいタイプの治療薬(カッパ受容体作動薬)の登場などもあり、かゆみ治療の選択肢が大きく広がっています。かゆみは決して治らない症状ではなく、治療により生活の質も大きく改善する可能性があります。まずは、かゆみを相談いただき、ご家族や周囲の方にもサポートを受けながら、一緒にかゆみ治療に取り組んでいきたいと思っています。

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